第3章 ブルームーン 【伊達政宗】 《R18》
「──温泉?」
洗い物も一段落し、これから湯浴みの支度でもしようかと話していた時。
どうせなら温泉に行かないか、と政宗に誘われた。
「ここから歩いて行ける距離にある。行くだろ?」
「うん!温泉なんて久しぶり」
もともと温泉好きで、現代で暮らしていた時はよく友達と行っていた。
戦国時代の温泉はどんな感じなのだろうと期待しながら、政宗の案内についていく。
そういえば私…男の人と一緒に湯船に入った事ないな。
裸なら褥で何度も見られてはいるけれど、なんとなくそれとはまた違った恥ずかしさを感じる。
城から少し離れたところにある温泉場に着き、
簡易的に建てられている脱衣所にて、しばし躊躇していた私は。
意を決して襦袢を脱ぎ落としたものの堂々と全裸で登場する勇気はなく、胸から下を隠すように手拭いを身体に宛てながら脱衣場を出る。
渡り石が続く通路を歩いていき、開けた場所に突き当たると現れたのは、岩場に囲まれた温泉───
立ち込める湯気の向こうに、見慣れた背中があった。
「遅かったな。どうした?」
「…ちょっと帯外すのに手間取っちゃって」
早々に着物を脱いで先に浸かっていた政宗が不思議そうに見守る中、それとなく言い訳をして そおっと湯船に足を入れる。
私ったら、意識しすぎだよね……。
もう恋人同士なのにこれしきの事で恥ずかしがってどうするの、と己に言い聞かせながら、羞恥心を紛らわそうと周りの風景を眺めてみる。