第2章 天下人の女 〜高飛車姫〜 【織田信長】 《R18》
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あの時、信長様が舞を連れて鷹狩に行ったのは実は秀吉様も同行していた為。
あの時、舞が頬を染めながら天主を訪れたのは秀吉様がどういった女性が好みなのかを信長様から聞き出す為。
あの時、舞が想い人だと語っていた相手は秀吉様。
そういえば祭りの帰りも舞は理由をつけて秀吉様の御殿へ行っていたっけ。
あの時も、あの時も、あの時も……。
裏話を聞けば聞くほど、点と点が繋がっていき……
勘違いと真実を繋ぐ線がまっすぐになった。
「〜〜〜ああっ、もう!
ほんっっと紛らわしい人達ね!」
「何事にもまず裏を取れ。教訓になったろう」
恥ずかしさのあまり嘆いている様子を眺めながら、信長様は呑気に金平糖をつまんでる。
あれから意識を失った後どうやら天主に運ばれたらしく、起きてからも私は褥に座ったまま話をしていた。
「…でも本当に命拾いしたわ。ありがとう」
「構わん。
──俺からも礼をせねばならんな」
「礼?何かあったかしら…」
「これだ」
着流しの懐から取り出してきたのは、見覚えのあるお守り。
「出立の朝、舞に渡されたのだ。貴様が繕ったものだと」
──舞は気づいていたのね、私の気持ちに。
お節介な子ね、まったく。
お節介だけど、そういうところ嫌いじゃないわ。
なんて、顔を綻ばせていると。
「………!」
不意をつくかのように塞がれた、唇。
突然の出来事に目を見開いたまま、信長様のそれが離れるまでぴくりとも動けなかった。
……一体なにが起こったの。
「──礼だ」
呆けている私の顔が可笑しいのか、
してやったりと言わんばかりの笑みを浮かべている。