第2章 天下人の女 〜高飛車姫〜 【織田信長】 《R18》
───────────
「──こらっ、やーっと見つけたぞ舞。
若い娘だけでふらふらしてたら危ないだろ」
「あっ、秀吉さん!みんなも…!
ごめんなさい…楽しくてつい…」
「ま、無事でなによりだ。
…ん?茅乃様はどうした?」
「それが大変なことになっちゃってて…。
ほらあれ見て!茅乃さんたら凄いの!」
舞が指差す方には多くの人だかり。
そしてその中心に茅乃がいた────
「ほうら、また私の勝ちよ!」
「あちゃ〜、姫様には敵わねぇなぁ」
───あの後待ちくたびれた私はただ座っているのにも飽きてしまい、今は近くの見世物小屋で投げ駒対決に興じている真っ最中だ。
見世物小屋といっても体の不自由な者を晒す悪習ではなく、力比べや相撲などあらゆる種目で対決する様子を観覧できる…という趣旨らしい。
勝者には景品が与えられるので参加する者は絶えないが、それらを蹴散らすように私は一回戦、ニ回戦、三回戦…と連続で勝ち抜いていた。
額に手を当てて嘆く対戦相手を尻目に、店主から戦利品を受け取る。
「さあ、次に倒されたいのは誰!?」
声高らかに、新たな対戦相手を募る。
すると、雑踏から姿を現したのはまたもやあの男……
「倒されたいなどという嗜好は持ち合わせていないが…
貴様が倒れるところは是非とも見てみたいものだ」
まだ戦ってもいないのに勝ち誇ったような顔をこちらに向けている。
「ついに我らが信長様のお出ましだ!これは見ものだぞ!」
「きゃーっ!信長様がんばってー!」
沸き立つ周囲の掛け声に吸い寄せられて、更に見物人は増えていく。