第1章 思い
買い物の帰りに聞きなれた声が後ろから聞こえてきた。
「おーい!」
「・・・っ嶺二?」
ブンブンと手を振りながら笑顔の嶺二が駆け寄って来る。
「やっほー☆あ!お誕生日おめでとう!どう?ランランとラブラブイチャイチャな日は・・・まだって事かな?」
蘭丸が居ないことに気づきキョロキョロと周りを見て再びコチラに顔を向ける。
「どう?あのお薬使えた?」
ニコッとしながらも意味ありげな声のトーンで話してくる。
「使ってないよ・・・。蘭丸が嫌がるんだもん」
「えぇー!ランランどーして嫌がるのー?ただのビタミン剤なのにー!」
「私が多分余計な事言っちゃったからかな・・・」
あははっと呆れたような笑い方をすると、嶺二はウキウキしながら何言っちゃったの??ってキメ顔をしながら聞いてくる。
「実は・・・」
朝にあの粉末を蘭丸に見せて、「コレは人がうんと優しくなれる魔法の薬だから、今日1日蘭丸に甘えたくてすっごく優しくされたいから、コレかけていい?体に害は全くないから!」
って言ったら蘭丸が少し固まってて、良いのかな?って朝ごはんの卵焼きにかけようとしたら阻止されて・・・
「お前・・・コレどうやって手に入れた?」
「え?嶺二だけど」
「・・・ぜってぇ駄目だ。」
って言う朝の流れを嶺二に正直に話すと、嶺二はぷぷぷっと笑いを堪えて聞いていた。
「??な、なになに?嶺二、私なんか、面白い事言った?」
「・・・ふふ。ち、違うよ!君じゃあなくて、ランラン面白いなーって、大丈夫!多分それヤキモチだと思うから!」
「??えー?ヤキモチって・・・、どこにそんな要素が・・・」
「良いからいいから!大丈夫!僕ちんにまっかせーなさぁーいっ!🎶」
自分の胸をドンと叩きながら嶺二はパチっとウインクして、再び腕をブンブン振って人混みに去っていった・・・。
「???・・・ヤキモチ??やくところある??」
謎だらけのまま、とりあえず家に帰り、せっせと料理に取り掛かった。