第3章 終業式の後に(芥川/跡部)
顔を上げためいこの目の前には、お城のような大豪邸が広がっていた。
めいこ「?!?!?!」
目を点にしながら、思考回路をフル稼働させる。
何これ美術館?!
美術館を経営しててその奥が跡部家?!
いやいやむしろ外見がこういうマンションでその中の1室が跡部家という場合も....
「お帰りなさいませ」
目の前の大きな扉が開き、ズラリとメイドが並んでその予想は全て外れたのだった。
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めいこ「あのぉ...」
跡部「何だ」
めいこ「なんでしょうこの状況...」
跡部は椅子に座っためいこの髪にオイルを塗り、丁寧にとかしていた。
豪華すぎる化粧台を前に緊張はすれど、人に髪をとかされるのは気持ちがよく、自然と顔が緩む。
先程跡部の家につき、大理石の床を歩いて案内されたのは客室では無かった。
芥川は書斎の部屋へ、めいこは何故か跡部の自室へ行くことになり、現在に至る。
跡部「後でやってやると言っただろ」
めいこ「そうですけどぉ、帰ったらちゃんと自分でしますよ?」
跡部「俺様がやってやりたかっただけだ」
めいこ「へぇ、ありがとうございます」
鏡越しに部屋を遠慮がちにみると、家具はアンティーク調で統一され、自室と言うにはあまりにも広かった。
目線を化粧台テーブルに戻すと、めいこに今使ってくれているオイルのガラス瓶が目に止まる。
洒落たデザインのそれは、自分の知らないブランド名が書いてあった。
めいこ「このヘアオイル、とってもいい匂いですねー」
跡部「当然だ。わざわざイギリスから取り寄せた俺様の一押しだからな」
めいこ「ほえー」
跡部「気に入ったんなら持ってけ」
めいこ「っえ!?」
めいこはどうしていいかわからず、オイルの瓶と跡部を交互に見る。
跡部「遠慮すんな、お前にあってる」
囁くように言われてドキッっとしてしまう。
跡部はその反応を満足げに眺め、意地悪く笑った。
跡部「ま、俺様の愛犬も大のお気に入りだしな」
めいこ「へ?!」
跡部「ソレでブラッシングしてやると喜ぶ」
めいこ「ちょっとぉ!やっぱ犬扱いなの?!」
跡部「クックック...さぁ、終わったぞ」