第34章 宿題もおやつに入りますか?
滝が何気なく見た頭上の電子板に、水族館のショータイムスケジュールが表示されていた。
『ペンギン散歩13時から』
『ジンベエザメショー開催中』
と書いてある。
滝「あ、もしかして和栗さん、このショーに行ったのかな?」
言うが早いか、向日と跡部はショーの場所へ走った。
目の前には、分かれ道。
跡部「おい向日、お前はソッチを頼む」
向日「オーケー!」
嫌な予感しかしない向日は、背中あたりがソワソワしていた。
めいこ「木手さんありがとうございました。いや〜凄かったですねー!」
木手「でしょう?うちの妹がハマるのも無理ありません」
ショーが終わり、ホクホクとした気持ちでお礼を言いながら、木手から降りる。
めいこ「ってことは木手さん、よくここ来るんですか?」
木手「えぇ、地元ですからね」
めいこ「そーなんだ!心からめんそーれの血が流れているんですね?!」
尊敬の眼差しで言うめいこに、「あなたメンソーレの意味分かっていますか?」と返す木手だった。
人だかりが減る中、2人で妹を探すも見当たらなかった。
私の携帯は…そうだ、あの時みたいに…。
めいこ「あの、元来た道戻っても良いですか?」
木手「ええ、かまいませんよ」
めいこは、フフッと笑う。
木手「どうしました?」
めいこ「…いや、思い出し笑いです。前にも、こうやって携帯探したなーって。あ、私のじゃ無いですよ?無くすわけないくらい、もうたわわに実った携帯を持ってる人がいてね、ーーー
向日「見つけた」
人混みのなか、ジンベエザメのシャツを着ている腕をグイっと掴む。
「わっ!誰?!」
振り返ったのはめいこでは無く、もう少し幼い女の子。
向日の顔を見て、ポポポポポ…と、絵に描いたように赤くなった。
向日「おん?」
同じシャツ着てるやつ居んじゃねーか!
なーにが迷子防止だ!
と、思う向日だった。
一方跡部は、かなり遠くの前方にめいこを発見した。
ホッと胸を撫で下ろしたが、誰かと楽しく話しているようだ。
跡部「あぁ?」
隣には知らない、デカい図体の強面な奴。
が、彼女に微笑みかけていた。
めちゃくちゃ気に入らない。
しかし表には出さず、スンッとした顔で呼んだ。
跡部「めいこ!!」