第3章 終業式の後に(芥川/跡部)
と聞こうとしたが、ふいに左肩を寄せられ、右頬に何か柔らかい感触があったために途中で止まってしまった。
何だろうと右を向けば、鼻が触れそうなくらい近くに跡部がいる。
めいこ「はーーーっ?!」
その瞬間に何か理解しためいこは、右頬を抑えながら後ずさる。
跡部「あーん?こんなの挨拶程度だろ」
どうともない、という顔でシレッと言う。
めいこ「ぶちょーおかしい!なんか最近キャラ違くない?!」
跡部「お前が犬みてーだからだよ」
めいこ「犬?!もはやフレンドっていうかアニマルフレンズ?!すごーい!!」
跡部「ハハハハハッ!!いつものお前に戻ったな」
めいこ「えっ...」
そっか、あたしがこの状況に呆然としてて、なんか疎外感を感じちゃってたから、わざとそういう風にからかったのかな。
そうだよね、あたしがそういうの関係なく友達になりたいって言ったんだもんね。
そんなことを考えためいこは無意識のうちにうつむき加減になってしまい、今度はおでこにチュッとされた。
もー!とか言われると思った跡部だが、顔を上げためいこは真っ赤になり、目がウルウルしていた。
予想外の反応にギョッとする。
めいこ「ぶちょぉお、もうソレやだぁあ」
短時間で慣れていないこと続きになっためいこはキャパオーバーした。
跡部「おま...反則だろ...」
自家用車でリラックスしてのこの距離なので、跡部は何かのスイッチが入りかけた。
跡部「和栗...」
芥川「あれ、ここどこだっけ...」
再度手を伸ばしかけたところで、突然芥川が起きた。
めいこはハッと我に返る。
めいこ「芥川先輩おそよーございます」
跡部はいろいろな意味の大きいため息をつき、サッと体制を戻した。
芥川はゆっくりと起き上がる。
跡部「俺様の車中だよ」
芥川「何処行くのぉ..」
跡部「俺様の家だ」
めいこ「っえ?!」
芥川「マジマジィ?やったぁ」
めいこ「最寄り駅までとかじゃないの?!」
本当は道すがら芥川だけを先に送り届ける予定だったが、跡部は急遽予定を変更した。
しかしこの会話を運転手も助手も聞いていたので、しっかりルート変更していた。