第3章 終業式の後に(芥川/跡部)
めいこ「ッオイ!!」
跡部「お前は鞄に入りっぱなしのユニフォーム来て帰ればいいだろ」
芥川「あそっか!跡部頭Eー!」
めいこ「鞄に入りっぱなしのユニフォーム?!」
それを聞いためいこは、今まさに平泳ぎをスタートさせようとしていた動きを停止させた。
めいこ「それはヤバくないスか先輩、いくらこの前選んだ洗剤がパーフェクト抗菌24時間消臭機能がついてるからって...」
跡部「コイツのは使ってねーユニフォームだ。昨日練習来なかったろ」
めいこ「そういえばそうか」
それからしばらく、めいこはゆっくり平泳ぎをして、芥川はのんびりとプールの冷たさを楽しみ、跡部はその2人を監視塔から見守りつつ、先程借りてきた本をさっそく読んでいた。
めいこ「せんぱぁーい、そろそろお腹すきましたー」
芥川「俺もー、てかねむいー」
めいこ「寝ないでくださいよ先輩溺死する!」
芥川「だってぇー冷たくて気持ちEーCー」
めいこ「EとCをフル活用?!」
跡部「何言ってんだお前は」
本を読んでいても話はしっかり聞いているようだ。
めいこはザバっとプールから上がると、びしょ濡れの制服と鞄を持って更衣室へ行った。
めいこ「着替えてきまーす」
芥川「あーい...」
跡部「おいジロー、ボケっとしてないでお前も着替えて来い」
芥川「えーめんどいー」
ノロノロとプールから上がり、びしょ濡れの制服のまま鞄を引きずって更衣室へ行った。
跡部は出入り口横の椅子で2人を待つことにした。
借りてきた本の1つは既に半分近く読んでしまっていた。
しばらくすると、先にめいこが出てきた。
めいこ「あれ?芥川先輩は?」
跡部「寝てんじゃねーか?」
めいこ「えーっ!超特急で出てきたのにー」
めいこは肩にタオルをかけ、結いていた髪をほどいていた。
跡部の隣に座ると、ジッと見られたかと思うとスルリと髪を持ち上げられた。
跡部「和栗」
めいこ「ファッ?!」
名前を呼ばれてとっさに横を向けば、思いの外顔が近くて硬直する。
跡部「髪、乾かして来い」
優しく言われる。
めいこ「へ?でもあたし時間かかるし...」