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【銀魂】化けやかし

第1章 はじまり




「おいっ! !!」






裏庭の方からそんな声が聞こえてきたのは全ての家事を済ませて漸く腰を落ち着かせた頃だった。



聞き覚えのあるその声を最後に聞いたのはつい先日だ。








『...どちら様ですか、お客様は玄関から......』

「巫山戯んな! 銀時だ!! 覚えてんだろ?!」

『覚えてたく無いですけど』









妖がとはどうも仲良くしたくないと思ってしまうのは今まで良い思いをした事がないからだ。



わざと悪態をついたがそんなのお構い無しにある物を突きつけてきた。








『...お皿?』

「ただの皿じゃねぇ!!」

『......あ、...お供物の』

「そうだ!! 空の皿を供えるたァ、俺への嫌がらせか?!」








彼は何を言っているのだろうか。
空の皿などお供えするわけが無いだろうに、怒りに我を忘れたとでもいうのか大きな尻尾を逆立てている。








『ちゃんとお供えしましたよ』
『自分で食べちゃったんじゃないですか?』




「食ってねぇから怒ってんだ!!」
「彼処のお稲荷は俺のって決まってんのに!!」





『...決まっては居ませんよ...』
『そもそも勝手に食べないでください』








それでもどうしても食べたかったのか、流石に可哀想と思えてしまい、残っていた私の分を分けることにした。







「おっ、これこれ! これが美味ェんだよ」

『有難うございます』

「え......? お前が作ってんの?」

『私が作ってます』








驚いた顔をした後、また一口また一口と口に運ばれるお稲荷さんはあっという間に無くなってしまった。








「美味かった、ご馳走さん」

『......お粗末様です』

「さて、仕事するか」

『仕事?』

「報酬は前払いで貰ったしな」








箸を使わず食べた手の指をペロっと舐める銀時が言う「報酬」とはお稲荷さんのことらしい。




一体、その報酬で何をするのか。









「よし、犯人探しだ」










それ、依頼してないし。









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