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【ヒロアカ】華恋【轟焦凍】

第2章 夏恋[R18]



酔いが回っているせいか
いつもより余計に肌が敏感になっていて
少し触れられただけなのに
身体が小さく跳ねていた。


「触っただけでんな反応するもんなのか?」


腰からゆっくりと
滑るようにして這い上がってくる手は
背中のホックに差し掛かると
一度動きが止まったかと思えば
上半身が寄せられて肌が密着していた。


「え?ちょ」
「動くな」


丁度耳の辺りに口元があって
低音がダイレクトに鼓膜を揺らす。
今になってその声音に心臓が高鳴って
下腹部が疼くのを感じた。

その近さに
早鐘を打つ鼓動が
伝わってしまいそうで
余計に鼓動が早まる。


「女の下着って面倒くせぇ」


その台詞と共に
胸を圧迫していたものがなくなったのに気付いた。


「で、次はどうすればいい?」


私が誘ったからなのか。
主導権がこちらへと回ってくる。


「本当にいいの?」
「今更だろ」


確かに。
互いに上半身は何も身に纏っていない状態になって
何もないというのはもう遅い気がする。
というか、こんなところに来た時点で
言い逃れのできない状況になってしまっているではないか。


「なら、少しでも罪悪感のない方へ」


ついさっき思い浮かべた噂の恋人を頭の隅に追いやって
少し腕に力を込めれば再びショートの身体は離れて
クッションに預ける形になる。

ショートは私に行為をせがまれて仕方なく。
自分が浮気されて辛い思いをしたと言うのに、
次は自分がその思いをさせる立場に。
酔っ払った勢いでの過ちなんだと。
訳の分からない言い訳を最後に
余計なことを考えるのをやめた。

目の前にいる見目麗しい男を求めて
その首元へと唇を寄せる。
きっと素面ならこんなこと絶対にしない。
彼氏にだってしたことない。

触れるだけの口付けを首元から
肩の次に鎖骨を過ぎれば
広い胸板へと。
一つ一つ時間をかけて。

多分それは、本当は自分がして欲しいと望んでいること。
もうそれを求める相手はいないから。
その代わりに私がそれをすることで
何かを満たそうとしていた。


「すげぇ、っ丁寧に、するんだな」


そんな私の頭を大きな手が撫でてくるから
その手つきがとても優しいから
勘違いしてしまいそう。

たった一度の
一夜の幻想だということを
忘れてしまいそう。


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