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【ヒロアカ】華恋【轟焦凍】

第3章 夏幻[R18]





「けど、食い逃げ犯がお前に触れるのを見て少し考えが変わった。敵のことだけじゃねぇ。を誰かに取られちまうこともあるんだ…」


右手を掴まれて
薬指にはまる指輪に
小さく口付けが降ってきた。


「だから、これを贈る」


私の気持ちを聞かないで
なんて強引な手段だろう。

その想いが一方的だったら
こんな事をしても
意味なんてないのに。


「が好きだ」


こちらを見据える揺るぎのない瞳に
真っ直ぐに告げられた一言で
余計な考えを巡らせたと悟った。


「誰にも渡さねぇ」


呼応するように
一層強く右手を掴まれて

私の心に
これ以上逃げるなと
言われている気がした。

異性に興味があるって
そんな話題を振ろうと思ったのは
焦凍だから。

キスを心地いいと思った。
身体を重ねることに抵抗なんてなかった。

それどころか
飽くことなく何度も求め合って
その熱に酔いしれていた。

「会えない」現実に目を背けて
辛さから逃れる為に
気持ちを見ないフリした。

だけど無意識に熱を求め続けて。

一方的なんてよく言えたものだ。


「私は…この先もずっと焦凍の隣にいたい。その場所を誰にも譲りたくない」


きっと私達は
一緒にいることが当たり前過ぎて

そうじゃなくなることを
考えもしなかった。

いつまでも一緒だと
深層心理が思い込んで

想いを口にすることを
後回しにしていた。

お互いにキッカケは違ったけど
呆気ないほど簡単に隣にいられなくなると
ようやく気づくことが出来た。

このまま本当に「会えなく」なってしまう前に。
これからもずっと一緒に居られるように。

ちゃんと言葉で伝えよう。

もう私の気持ちは
はっきりと見えてる。





















「焦凍が、好き」





あの日と同じ
外では蝉達が大合唱をしている中
やっと伝えた気持ち。

耳障りだった鳴き声は
夢幻の時の中で
番いを求めて呼び続けているんだと
誰かが言っていた様な気がする。

番いを見つけた私達は
惹き寄せ合うようにして
唇を重ねては
一夏が過ぎようとも
互いを求め続けていた。



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