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innocence

第5章 蒼の目覚め


「術式レベル2……変身」
ガシャットを差し込み、レバーを右に開いてレベルアップする。
『ガッチャーン!レベルアップ!タドルメグル!タドルメグル!タドルクエスト!!』

まず郷未を安全な場所へ運ばなければ。
ガシャコンソードを振り、鈍足な怪物に剣閃の嵐を叩きつける。
火花が散っている。ライダーの力が効いているとみていいだろう。
続けて、身体を低く沈め、怪物の疎かな足元に足払いを仕掛ける。
奴が尻餅をついたところを見計らい、隅で固まっている郷未を抱き上げた。
「ひいろさん……なの?」
俺がいきなり甲冑の騎士に変身したことが信じられないのか、郷未は不安に塗り潰された瞳でこちらを見つめてきた。
「……ああ。事情は後で説明する。とにかく今は奴から離れ……」

___________言いかけて、とんでもない速さで郷未が消えた。
否、俺が吹っ飛ばされたのだ。

背中に激痛が走る。砂埃を巻き上げながら、俺は地面に顔面から投げ出された。
馬鹿な……あの怪物の身のこなしからして、こんなに素早く体勢を立て直せるわけがない。
「がっ!?」
何とか起き上がったところに追撃の張り手を顎に喰らい、再び地面に突っ伏す。
揺れる視界の中、怪物の真の姿が映る。蛹の鎧は剥げ、蚕の成体を彷彿とさせる、より身軽な体型に進化していた。

「い"っ……!?」
苦痛を堪えようとする時のような、鈍い悲鳴が上がる。
見れば、怪物の鋭い爪によって郷未が手傷を負わされていた。
ばっくりと割れた傷跡から、鮮血がボタボタと流れ出てくる。
「貴様っ!!」
あまりの怒りで意識が飛びそうになった。
ホルダーからドラゴナイトハンターZのガシャットを取り出し、ブレードを選択してスロットに挿し込む。
『ドラゴナイトハンターZ!』
起動後、音声が鳴る。
レバーを動かそうとして、俺は思わず手を止めた。
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