愛のカタチ~貴方と見る世界~【ONE PIECE】
第5章 気づき始めた想い
「…待って…もう少し髪撫でて…眠れないの、お願い。眠ったら、毛布持っていってね?」
(なんて可愛いんだ…)
「わかった、だが、毛布はある。ありがとな。お前の方が風邪引くから、ちゃんとかけろ。」
そう言って、優しく髪を撫でてやったら、スーッスーッと寝息が聞こえてきた。
(眠ったか…)
ローは布団を掛け直し、隣の部屋に戻った。
すると急に眠気に襲われる。ソファーにすわり、毛布にくるまると、すぐに眠りに落ちた。
翌朝。
ローが目を覚ますと、毛布だけでなく、他の布団がかけられていた。
「…重てェ…」
と布団をどかす。
ソファーで寝るのは体勢が辛い。あちこち身体を伸ばし、ようやく動くようになり、ゆっくり立ち上がった。
布団を見て、またリンがかけたのだと思い、部屋を見に行くと、彼女はもういなかった。
彼女がせっせと布団を運ぶ姿を想像すると、口元が自然に緩んだ。
リビングに行くと、リンがクルーたちと話をしていた。
「決めた?どうするか。」
「…まだ、もう少し考えたい。」
声をかけられず、そんなやり取りをしているのを見守っていると、見張りをしていたクルーが電伝虫を鳴らしてきた。
その音で、リビングにいた皆がローに気づいた。
「キャプテン、おはようございます!」
「あぁ。おはよう。」
「ロー、おはよ!」
と、飛びっきりの笑顔を向けられた。朝からそんな笑顔を自分に向けてくれたことに、ローは、胸が高鳴った。
「おはよう、リン。」
と返事をしたあと、ローは近くの電伝虫を取った。掛けてくれたであろう、布団のことは聞けなかった。
…ガチャっ…
「どうした?」
「6時の方向に敵船!こちらに砲撃を向けています!」
「すぐに戦闘準備にかかれ!」
見張りのクルーにそう返すと、ローはリビングのクルー達にも指示を出した。
「お前らも急ぎ、準備しろ!売られた喧嘩は倍にして返してやる。誰の船に手を出したか思い知らせてやるぞ!」
「了解!リンは、危ないから隠れてろよ。」
「見つからないとこ、船長室とかに行った方がいい。」
そう言いながら散っていくクルーたちを見送ると、リビングにはローとリンの二人だけになった。