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愛のカタチ~貴方と見る世界~【ONE PIECE】

第5章 気づき始めた想い


隣の仕事部屋のソファーで、ローは落ち込んでいた。彼女に嫌われるようなことを自分がしてしまったことに。怖い思いをさせて、泣かせてしまったことに。

怖い思いをさせるつもりはなかったはずだ。あの時、治療した時に彼女の身に起きたことが分かったから。守ってやりたくて、男部屋でなく自分の部屋を使うように提案したはずだったのに。

(なにやってんだ…オレは…)

本を開いてはいるが、内容が頭に入ってこない。リンのあの涙目が胸を締め付けていた。




…コンコン…

「誰だ?」

「おれだよ、キャプテン。入るよ。」

ドアが開き、ベポが入ってくる。その手には毛布を持っている。

「リンが、風邪ひいたらいけないから、これをキャプテンにって。」

「……もらっておく。」

と毛布を受け取った。

「じゃ、キャプテンおやすみなさい。」

「あぁ、すまなかったな、ベポ。」

ベポが部屋を出ていくと、ローは暫くの間、受け取った毛布を見つめた。

嬉しかった。嫌われたかと思っていたのに、怖い思いをさせたかと思っていたのに、そんな自分を思って毛布をくれたリンの優しさが。彼女への思いが募っていく。

(怖い思いをさせたのに、ありがとな。)

心の中でリンにお礼を言う。

ローは、ふと、リンが朝、寒そうに布団にくるまっていたことを思い出し、毛布を持って隣の部屋に行った。
静かに室内に入り、そっと彼女に毛布をかけた。

「ベポ…ローに毛布持っていかなきゃローが風邪引いちゃうよ…」

彼女は目を閉じて眠っているはずなのに、毛布がかけられたことに気づいたようで、寝言のように呟いた。

(まだベポがいると思ってる…)

「…毛布なら、ある。ありがとな。」
小声で囁くようにそう答えたローは、そっとリンの髪を撫でた。

心地よい感触がリンの髪に伝わっていたようだったが、その感触がなくなった途端、大きな美しい瞳が開かれた。すると、その彼女の目に映ったのは、ローだった。バッチリと目が合う。

「……ん…ロー…?」

甘えたような声は、寝ぼけているからなのだろうが、そんな声で自分の名前を呼ばれたら、答えずにはいられない。

「……おやすみ…」
そう言って部屋を出ていこうとするローを、リンが引き留めたのだった。
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