愛のカタチ~貴方と見る世界~【ONE PIECE】
第6章 "仲間"と"恋人"と
敵船から、エターナルポースや、いろいろな情報や宝、食料等を奪う。
"奪う"のが海賊なのだ。
でも。
このハートの海賊団や、シャンクスの海賊団はそれだけじゃない。所属したことはないけれど、きっとあの麦わらの海賊団も同じはず。
─仲間を大切にし、そのために命を懸ける。なによりも楽しむこと。自由に過ごすことが海賊─
─支配や命令を嫌い、自由を好む─
これが彼らの中にある、"海賊"の定義なのだろう。
この船に残ることは、自身が"海賊"になることを意味する。
自分で決めたことなら、後悔はしない。
ローたちは、海賊になることを強制しない。
あくまでも自分の意思を尊重してくれる。
短い時間でも、仲間として扱ってくれ、守ってくれている。
世間から"死の外科医"と恐れられているロー。
だが、実際のローはとても優しく、強く、そして仲間思いだ。
彼の仲間も、一癖も二癖もあるけれど、船長の優しさとは違う優しさがある。
そんなローに、いつしか惹かれていた。
いや、あの初めて会った時、助けられてからかもしれない。
二度も彼に助けられ、そして、昨日と、今日の「オレが守ってやる」と抱きしめられた時の安心感。
ローに惹かれ、ローのことをもっと知りたいと思っている自分がいる。
そのことに気づくのにそう時間はかからなかった。
敵船の襲撃を退けたあと、他のことはペンギンたちに任せ、ローは部屋に戻ってきた。
リンのことが気になっていたから。
彼女は自分の先の行動に赤面していて、まともにローを見ることが出来ないでいた。
「おい、聞いてるのか?」
少し怒りを含んだ声でローが話しかけた。
「おい、って名前ではないわ。」
リンは、おい、と呼ばれたことに少しムッとしていた。
「あぁ…悪かったよ…リン、明日には街に着く。この先どうするのか結論を出せ。なるべく早くな。」
「…うん。もう少し考えさせて?」
そのあと、ローとはすれ違ってばかりだった。
食事の時も、ローは仕事部屋に篭って、クルーにおにぎりを部屋に持ってくるように頼んでいた。
(さすがに気まずいよね…)
そんなふうに思いながら、リンはベポにお願いをして眠りにつく。
ローは隣の仕事部屋に毛布を用意してあるようなので、ひとまず心配はないようだが。