愛のカタチ~貴方と見る世界~【ONE PIECE】
第5章 気づき始めた想い
今までの女なら、たった一度の関係でもこんな苦しさはなかった。嫌われようがどうでもよかった。
だが、キスもしてない、抱いてもいない女に嫌われた?なんて考えるのは何故だ?
そもそも、キスしたい、と思ったのは何故だ?
(リンが…欲しい…)
心の中にハッキリとその思いが表れ、ローは自覚をした。
彼女に惚れていることを。惹かれていることを。
(これが、恋ってヤツか……)
ローは、恋に落ちていた。
初めて会った時から惹かれていたのだと気づいた。
(気まずいよな……)
そう思いながら、食堂に向かう。
今顔を出さなければ皆が心配する。
夕食の時間。
朝と違ってベポが呼びに来た時にリンを抱えて来たので、一番早く食堂に来ることができた。
次々に集まってくるクルーたち。
ローが最後に入ってきた。
「明後日の昼頃には街に着くぞ。どうするか決めろよ。よく考えろ、俺たちと来るってことは、リンも海賊になるってことだからな?」
ペンギンがリンに話している様子を、ローは黙って食べながら見ていた。
(あと少しか……)
リンはあれから、自分と目を合わせない。
そのことがローには苦しかった。
このまま、苦しいまま、彼女がいなくなるかもしれないことが辛かった。
────────
先に部屋に戻ったローは、毛布を出し隣の仕事部屋に運んでいた。
隣の部屋で読むため本を何冊か選んでいると、リンが片付けを終えて部屋に入ってきた。
ベポも一緒だった。
「どうした?ベポ」
「リンが眠るまで一緒にいてあげるんだ。」
「…そうか。しっかり布団かけてやれよ。オレは隣の仕事部屋で寝る。」
そう言ってローは隣の部屋に行くため、選んだ本を数冊持って出て行ってしまった。
そんな様子を見ていたリンは、ベポに聞いた。
「隣の部屋に布団は?」
「ないよ。」
「じゃあ、この毛布……持って行ってあげて。風邪ひいたらいけないから。」
「わかったから、おやすみ。」
ベポがそう言うと、リンは安心して眠りについた。
眠ったリンを確認すると、ベポは頼まれた毛布を持って、隣の部屋をノックした。