愛のカタチ~貴方と見る世界~【ONE PIECE】
第5章 気づき始めた想い
…ぐぅぅ…
お腹が鳴って目が覚めた。
ハッ!として起き上がり周りを見るが、ローの姿はない。
聞かれなくてよかった…とホッとしていると、扉が開き、ローが入ってきた。
「起きてたか、もう夕方だぞ。」
「そんなに寝てたのね。」
「いくら安静にしてろ、といっても寝すぎだ。」
そう言いながらローはリンのおでこを小突いた。
「痛いっ!!」
「まぁ、薬に睡眠薬混ぜたんだけどな。」
ニヤリと口角をあげたローに、リンは、頬を膨らませる。
「ローのせいじゃない!」
とローの胸を小突き返した。
「元気だな、安静にしてなきゃダメだろ?医者の言うことが聞けねェのか?」
自分の胸を小突いた彼女の手を掴み、その手をどかしながら身体を寄せて、リンに近づいた。
「…また近い…心臓に悪いからやめて…」
顔を真っ赤にして、目線はキョロキョロとさまよわせながらローに言う。
「……」
なにも言わず、リンを見つめるロー。
その沈黙に耐えられなくて。
「……そんなに見つめないで…」
見つめられて、恥ずかしさで顔が真っ赤になっているのに加えて耳まで赤くなっているのが自分でもわかる。
胸の鼓動も早くなっていた。
「…キス…してェ…」
ローの顔が近づいてきたその時─
…コンコン…
ノック音でハッ!と我に返ったリン。
「ど、どいてッ!!離してッ!!」
リンはローを押しのけ、掴まれていた手を振りほどいた。
ローは、押しのけられてリンを見ると、彼女は涙を浮かべていた。
「…チッ!……なんだっ!」
大きく舌打ちをし、ドアの方に声をかけた。キスしたかったのに出来なかったとか、邪魔されたとか、そんなことではなくて自分が泣かせてしまったことに、苛立った。
「夕食だよ、キャプテン、リン。」
ベポはそんなローの様子に気づくこともなく、普段通り声をかけてきた。
「ベポか…先にリンを連れて行け。オレは少ししたら行く。」
「アイアイサー!」
リンがいなくなった部屋で、ローは先程の自分の行動を振り返り、彼女にキスをしたいと言ったことを反省した。
(嫌われたな…)
涙目で押しのけられたのが答えだ。
嫌われたかもしれないと考えることに、ローは驚いた。
(なんだこの苦しい感じ…)