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愛のカタチ~貴方と見る世界~【ONE PIECE】

第5章 気づき始めた想い


ローが部屋からいなくなってどのくらいの時間が経ったか。
実際にはそんなに経っていないのだが、リンにはとても長い時間に感じられた。

敵の海賊が襲ってきてから、1時間程で制圧したローたち。
大したケガもなく、かすり傷程度のクルーばかりだ。

ローは無傷、返り血すら浴びていなかった。
ただ、部屋に置いてきた彼女が心配だった。とても怖がっていたから。

泣いているかもしれない、と急いで部屋に戻ると、ぐったりしているリンを見つけた。

「おいっ、どうした?!」
慌てて、ベッドに駆け寄るロー。

「尋常じゃない船の揺れに気分が悪くなっただけ……大丈夫…」

1時間程度は船が揺れていたのだ、慣れない彼女には辛い時間だったろう。それに、まだ安静が必要な状態でもある。

「ちょっと横になって、待ってろ、薬を調合してくる。」
そう言ってリンを横にならせると、ローは薬の調合をするため、隣の仕事部屋に行った。


「…よし、出来た。」
そう呟いて、薬を持ってベッドのそばにいくと、穏やかな寝息が聞こえてきた。

(大丈夫なわけあるかよ…まったく…)
ローは大きくため息をついた。

「おい、寝るなら薬を飲んでからにしろ。」
寝ているリンを無理やり起こし薬を飲ませると、少しして彼女は再び眠りについた。

「…ったく、震えてたかと思えば…ふぅっ…」

眠ったことを確認し、ベッドの脇に座り一息ついたローは、次第に冷静さを取り戻していく。
そして、敵襲のときのリンのことを思い出して照れくさそうに頭を搔いた。

(怖い思いさせちまったか…落ち着かせるために抱きしめるなんて、何やってるんだ、オレ…)

リンを落ち着かせる意味もあったが、抱きしめたことは、ロー自身を落ち着かせるためでもあったのだ。




───────

その後暫くリンは目を覚まさずにいた。
その間ローはソファーで本を読んだり、航行状態を見に行ったりして、過ごした。
リンのことを見守りながら。

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