愛のカタチ~貴方と見る世界~【ONE PIECE】
第5章 気づき始めた想い
大きな船の揺れと、響き渡る子電伝虫の音でリンは目を覚ましてしまった。
「…ロー?なにかあったの?」
「起きちまったな、ここで待ってろ。」
ローはリンの頭を撫で、彼女に聞こえないよう、隣の仕事部屋に行って子電伝虫を取った。
「どうした!」
「敵襲です!」
「すぐに行く、戦闘態勢にかかれ。オレが行くまで砲弾が船に当たらないように避けろ!」
ローが自分の部屋に戻ると、子電伝虫の内容が聞こえたのか、リンが涙目でガタガタと震えていた。
「敵襲…なの?」
(怖い…)
「大丈夫だ、ここにいろ。」
もう一度、リンの頭を軽くポンポンっと撫でてやる。
「……」
大丈夫と言われても、初めてのことだ、無理もない。シャンクスの船にいた時ですら、経験なかったことだ。まぁ、シャンクスの船の場合、赤髪海賊団のジョリーロジャーを見ただけで、襲おうなんて海賊がいなかっただけかもしれないが。
リンは無意識に、行かないで、とローの服の裾を掴んだ。
ローはそれに気づき、その手を離すと、ゆっくりと抱きしめた。
無意識だった。
「…ここには来させねェ。守ってやる。オレ達を信じるんだろ?だったら泣くな。」
その言葉で彼女の震えが収まった。
ローは身体を離し、わかったな?とリンの頭を軽く撫でると、部屋を出て行った。
リンは一人、部屋に残された。
────────
船内には、敵の海賊が数名入ってきていたが、そこはローのサークルの中。彼等はあっという間にバラされた。
「お前ら!!誰の船を襲ってんだ?」
凄まじい殺気を纏って刀を振るローに、敵は恐れをなしたようだ。
「お、お前は…!死の外科医!ヒィッ…!ふ、船は渡すから命だけは!」
命乞いをする敵の海賊。
「オレは医者だ、人殺しは好きじゃねェ…が…メス!」
相手の船長と思われる男の心臓を抜き取った。
ローはその心臓をポンッポンッとボールのように扱って、海の遠くの方へと投げ入れる。
「運がよけりゃ、誰かに拾ってもらえるだろうがな。じゃあな…」
こちらは、誰一人失うことなく、敵船を制圧した。
「おい、ペンギン!コイツら片付けとけ。それと向こうの船に食料や金目のものがあるか見てこい。あれば、奪って海賊旗を燃やせ。」
「了解!」