愛のカタチ~貴方と見る世界~【ONE PIECE】
第5章 気づき始めた想い
「まぁ、座れよ、メシ食え。」
他のクルーに宥められ、シャチが隣に座るように促したその席はローの目の前だった。
涙目でぷぅっと膨れてるリンの表情はまるで子供のようだ。
(そんな可愛い顔を他のヤツらに見せるんじゃねェ…)
ローは好物のおにぎりを口にしながら、心の中でそんなふうに思っていた。
ローはそれが"嫉妬心"と"独占欲"であることにまだ気づいていない。ローにとってそれが初めて抱いた気持ちだということにも、気づいていなかった。
安静に、と言われているため、食事の後リンはベポに抱えられて船長室に戻ってきていた。
「ありがとう、ベポ。」
「少し休んで、また大丈夫そうなら起きてくるといいよ。」
ベポはリンをベッドに寝かせた。
「他に何かして欲しいこととか、ない?」
「少しだけ、そばにいてくれる?昨日みたいに。」
「いいよ。少しだけね。」
そう言って、ベポはリンが眠るまでそばにいることになった。
眠ったかどうかを確認していると、ローが部屋に入ってきた。
「あ…、キャプテン。シーっ…!」
「寝たのか。」
小声で聞いてくるロー。
「うん、リンはそばに誰かいないと眠れないみたいで。」
また小声でベポが返す。
「お前は持ち場に戻れ、あとはオレが見る。診察も兼ねてな。」
「アイアイサー!」
ベポはまた小声で返事をすると、大きな体からは有り得ないくらいの静かな動きで部屋を出ていく。
ローはベポがいなくなったあと、ベッドの脇に腰かけ、リンの綺麗な黒髪を優しく撫でてやりながら、寝顔を眺めていた。
あと何日かで島に着く。予定よりも早まっているようだ。
(島に着いたら、お前は船を降りるのか?)
そんなことを考えていた時だった────
船が大きく揺れた。
この時、タング号は海面に浮上をしていたのだ。
大きな揺れと共に、大きな爆音も聞こえた。
ローの部屋に、子電伝虫の音が響き渡った。