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【黒執事】翡翠の少年【BL】

第4章  深紅と紫黒


 振り向くとそこにはガラの悪いトサカ頭の生徒がいた。
『ん?』
「ンま、素人じゃねーってこたぁ分かったけどよ。とびっきり凄げー訳でもねーからなァ」
 彼は俺のバイオリンを取ると、少しニヤッとすると、バイオリンを構えた。
「才能ってのはなァ、こーゆーのを言うんだっての!」
「チェスロック」
 フードの彼が呼ぶと、トサカ頭はバイオリンを構えたまま彼の方を見た。
「うるさい」
「へ、へい」
 申し訳なさそうに彼が下がると、フードの男は立ち上がり言った。
「悪くないんじゃないの? 何処に入っても一緒だと思うけど。チェスロック、白鳥宮に案内してあげて。荷物もね」
「え!? この荷物を? い、いえ! 分かりやした……」
 フードの男は踵を返して暗い廊下の向こう側にさっさと消えていった。
「はぁ。しゃーねーなァ」
 トサカ頭がため息をついた。



 ギリシャ神話の女神がくつろいでそうな所にやって来た。白い柱に湖。座り心地の良さそうなソファに紅茶の良い香り。その中に、ウェストコートを着た彼らがいた。
 赤のウェストコートの男が俺とトサカ頭に気付き、ニコリと微笑んだ。
「おや、チェスロック。ご苦労様。紫寮と白鳥宮はかなり離れているから大変だったろう?」
「ぜェ……ぜェ……少し荷物が……ッ」
 彼が荷物を下ろすと、膝に手をつき、息を切らす。俺はそんな彼の様子をきょとんと見てると、彼は言った。
「オメーいつもこんなん持ってんのかよ……」
『無理して持たなくても良かったんですよ』
「はぁ? ……何言ってんだよ分かんねーよ」
 彼が背中をそらしているのを見ていると、赤いネクタイを付けた少女のような顔付きの美少年がソファに座るように促した。
「コールには初めて会ったようだね? この学校で一番の美少年さ」
 赤いウェストコートの男が微笑むと、美少年はふふっとはにかんだ笑みを零した。そんな中、青いウェストコートの男が眼鏡を押し上げ、言った。
「とりあえず、報告だ。グリューネ・レーベ。ドイツ人だな。それぞれの寮の入寮試験をしたが、青寮は不合格と認定した。」
「残念だけど赤寮も不合格」
「紫寮は、まぁ、悪くないんじゃないの?」
 語っていた三人の少し冷たい視線が突き刺さる。思わず俺は顔を背けた。
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