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【黒執事】翡翠の少年【BL】

第2章  名門寄宿学校、ウェストン。


 と、思った矢先に風が吹き、一番上に乗せていた英語の会話文の薄っぺらい本が飛んでいき、芝生の上の噴水の近くに落としてしまった。ヒヤリとしたが水面に落ちなかった事が一番の奇跡と言った所だろう。
『ふう……水浸しにならなくて助かった……』
 溜息をついて、抱えていた大荷物を石畳の上に置き、芝生に足を踏み入れた。すると、急に周りの視線が冷たく変わった。
「なんだアイツ……!」
「P4でもないのに!」
「なんて奴だ……」
『え? な、何? 何だって……!?』
 異国の言葉だが、何か自分がとても不味い事をした、という事はすぐに分かった。だが何をしたという事が理解できずにいた。
『ちょ……!?』
 ざわめきと野次馬は更に広がり、皆一斉によく分からない単語を口に発する。変な威圧感と恐ろしさで背筋に汗がつぅっと流れるのが分かった。
 拾う物を拾おうとするのも忘れ、呆然と立ちすくしていると、大衆は違う方に顔を向けた。
「あ! P4だ!」
「アイツ……P4に目付けられて……」
「はは! 面白いね!」
 顔を向けた先には赤、青、紫、緑のウェストコートを着た四人の男子生徒だった。だが、大衆の素振りからして彼ら4人は普通の生徒ではなさそうだ。
 早速青色のウェストコートを着た生徒が芝生に踏み込み、俺の方へ歩み寄り、拾おうと思っていた薄っぺらい本を拾い、中身を改めた。
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