第1章 片思い
好きと嫌いなら分かるけど…それ以上は、よく分からなかった。
「百ちゃん…恋って分からないね…」
最近のブームの百ちゃんに抱きつきながらそう呟くと
百ちゃんは優しく微笑んで
「そうですねー…。恋をしたことがないので、私も難しい話ですわ」
そう言いながら背中を撫でてくれた。
轟くんに告白されてから
一つ変わったことは
昼休みは轟くんと過ごしている時間が多かったけど
今は百ちゃんに抱きついている時間が増えたこと。
百ちゃんに抱きついていても轟くんは相変わらず、「寒ぃのかよ…」とか話しかけてくるし、私の手を握ってくるのは変わらない。…推薦で入ってきた轟くんと百ちゃんに暖められる私って、すごいや。と思う。
だからと言って
轟くんとは一緒に帰る、話すし
家に帰ったら轟くんと相変わらずLINEはしている。
そういう意味でも、轟くんとは平行線のままなのか
それとも少し離れたのか分からなかった。
「さんが私と一緒に昼ごはんをご一緒するので轟さんが寂しがっていましたよ」
「え!そうなの…?でも百ちゃんの方が柔らかくて気持ちいい…」
おっさん臭いことを言うけど
百ちゃんの温もり(おっぱい)には、敵わないと思いながら頬ずりしていると
「轟さんは、さんのことを大切にしていますから」と百ちゃんは言って微笑む。
その言葉を聞いて、轟くんと出会った日からの思い出を振り返るとようやく答えが分かったような気がした。
だから、轟くんの家にでも行こう、そして『好きです』と伝えようと思うと轟くんの家に行こうと決めた。