第1章 片思い
「八百万、麗日…悪りぃ」
轟くんがそう言うと軽々と私を持ち上げる。
「、借りてもいいか?」
轟くんが百ちゃんとお茶子ちゃんに訊ねると
「構いませんわ」
とても満面の笑みを浮かべる百ちゃんと
「ちゃん、行ってらっしゃい」
天使のような笑顔でお茶子ちゃんがそう言った。
「あぁ、悪ぃな」
轟くんが謝ると、お姫様抱っこで私を運んだ。
周りの目線が痛くてめちゃくちゃ降りたかった。
「轟くん…私、重たいから降りていいですか?」
「軽いし、大丈夫だ」
「周りの目線が気になる…」
「俺は気にしねぇけど…」
轟くんは私を降ろしたくないらしい。大人しく運ばれることにした。