第1章 片思い
轟くんの部屋で轟くんの背中にもたれかかって、うたた寝をしていた時にそんな夢を見ていた。
「小さいときの轟くんは可愛いかったなー…」と呟いた。
「…は?」
「昔の夢を見ていたんだよ…。小学生の轟くんが出てきた」
「…そうか」
轟くんは呟いた。
「夢…なんかみねぇな…」
「そうなの?
あ、あれ…枕の下?枕元?どっちかに置いたら見たい夢が見れるらしいよ。私の写真、置いておく?」
「そこまでしてやらねぇな。
夢の中で会うより現実のに会いてぇ」
「そっか」
どうやってこのニヤけた顔を隠そうか、と考えていたら轟くんの背中に抱きついてしまった。
「…寒いか?クーラーかけっぱだったし…」
轟くんが言うと轟くんは私の手に触れる。
私が轟くんが好きだからと思うと、その手はとても暖かった。