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ゆるりふわり

第1章 鳥来月



私と 銀ちゃんこと坂田銀八は
かれこれ前からの知り合いだ。
私が小さい頃に私の父と母が厄介事に巻き込まれたところを
銀ちゃんが助けてくれたらしい。
それから銀ちゃんがたまにうちに来たり
私は銀ちゃんに遊んでもらっていたりした。

ところがつい数日前 両親の海外への転勤が急に決まり
不仲な親戚に預けるよりずっと安心だということで
私は銀ちゃんの家に住み 最寄りの銀魂高校に通うことになったのだ。

きちんとした理由があることだし
一応一部の学校の先生たちは事情を知っているみたいだけど
他の人たちにはあまり知られたくないので
学校とそれ以外の場所で呼び方を変えることにしたのだ。



ご飯をもそもそ食べながら
私と銀ちゃんは再び学校の話を続けた。

「ねぇ銀ちゃん 私の教科書いつ頃届きそう?」
「まだわかんねーな
業者も新学期であちこち配送したあとだしばたばたしてるんじゃね?」
「うーん じゃあ当分沖田くんにお世話になるのかぁ…」

と言っていたところで思い出した。
今日はとっておきの話があるんだった。
私は笑いを堪えて平静を装いながら続けた。

「あのね銀ちゃん 今日沖田くんの教科書に…」
「めっちゃ凝ったパラパラ漫画描いてあるだろ」
「知ってたの!?うわーもう絶対おなか抱えて笑うと思ってたのに」
「しかもそこそこ絵上手いしストーリーが凝ってる」
「だよね!もう授業中笑いそうで大変だった…」
「あいつは無駄なことほど頑張るからな スイッチ中々入んねぇけど
普段は涼しい顔してやがるが 話してみるとおもしろい奴だぜあいつは」

そう言えば今日は緊張してほとんど話せなかった。
そっか おもしろい人なのか。

「よし 明日から話しかけてみよっと」
「おーおーその意気 がんばってみな」
「うん!」

待っているだけじゃ何も変わらない。
もっと自分から行動して
みんなのことをたくさん知りたい。



「ところでさー銀ちゃん 沖田くんの好きなこととかって知ってる?」
「あ?調教と落語」
「…は?」


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