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ゆるりふわり

第1章 鳥来月



*土方side*

うちのクラスに転校生(公野だったっけか?)が来てから
総悟の雰囲気が少し変わった。
ドSなところやムカつく野郎なのは相変わらずだが
転校生といるとき ときどきだけど
笑うようになった。

俺だって初めは見間違いだと思った。
でも間違いなく 奴は笑うようになった。
特別、ってほどでもねぇが気にはなる。
あの総悟にあんないい顔をさせることのできる奴だ 只者じゃねぇ。
てなわけで これからしばらく転校生に探りを入れていこうと思う。



総悟が購買に昼飯を買いに行く時間を狙って
俺は転校生に近づいた。

「なぁアンタ 総悟に何言ったんだ?」
「え?」

ただただ固まる転校生。
自分で言うのも何だが これじゃ脅迫みてーじゃねぇか。

「っと…すまねぇ
アンタが普段総悟とどんな話してんのかなって」
「どんな話…?
別に普通の話だよ 空がきれいだねーとか」
「は?空?」

野郎がそんな和やかなことを言う姿が
俺には到底想像できなかった。
へーえあいつか、へーえ。

「あの…」
「あ?」
「お名前なんでしたっけ?」

いけね 名乗ってなかった。
そりゃそうだ 転校早々クラスの奴ら全員の名前覚えるなんてできねぇ。

「あー悪ィな
俺は土方十四郎 総悟と同じ風紀委員だ」
「土方くんってあなたのことだったんだ!
そーちゃんからよくあなたの話聴いてるの」

一瞬 ほんの一瞬だが
俺の思考回路が止まった。



そ そそそ
そーちゃんんんんんん!?



「それでね そーちゃんが
土方くんのことはトッシーって呼べって言ってて」
「や それはマジで勘弁してくださいお願いします」
「いや?」
「嫌とかじゃねぇけど普通に土方とかでいいんで…」

俺の睨んだ通りだった
色んな意味で公野公子(後で調べた)という女は
只者じゃねぇ。


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