第8章 Doll House‐領主の勤め‐1
―貴方が望むままに壊れるほど愛して差し上げます―
その言葉の意味を想像するだけでクラクラする。
朝輝にお預けを食らってから体がやけに敏感で困ってしまう…
「んぁっ…くぅッ…」
こうしてお風呂へ連れられお湯が肌に触れるだけで声が出てしまう。
それをわかっているのか
「どうかなさいましたか?」と涼しい顔で朝輝が聞いてくる。
僕ばかり弄ばれているみたいでとても悔しい…
いつものように
朝輝が体を洗ってくれるかと待っていれば
「私が触れては果ててしまわれるかもしれませんので
こちらに控えております。ですので、ご自分で体を綺麗に洗ってください。くれぐれもご自分で触って達してしまわぬように…では、なにか御座いましたらお呼び下さい。」と悪魔の微笑みで朝輝は出ていった。
主人に対してなんて可愛くないヤツだと思った。
しかし彼が言うのも正論で、今触れられては腰が立たなくなるのは事実…なので頭から冷たい水を浴びて火照りを冷ますように素早く体を綺麗にする。
(僕は領主、皆を護らねばならない…きちんと勤めを果たさねば。)
浴室を出ると白い仮面を着けたメイドが身支度を整えてくれる。
この屋敷で働くメイドは領主に素顔を見せてはならない。
なお、すべての女性は情事の際目隠しをする。事が終わると赤い仮面を着けてこの村で生活をする。
もちろん子を孕み…産まれるまで…
この村で仮面を着ける理由…それは…
1つ、媚薬を飲ませるため一種の惚れ薬作用がでる。
そのため女が相手を好きにならぬように。
1つ、子供を産んだとしても顔を会わせてはならない。母性が目覚め手放したくないと思われては困るから。
1つ、青い仮面は一度抱いたことがある女という意味(旦那様が気に入った女性は屋敷のメイドとして働かせている)
1つ、白い仮面を着けたメイドは執事《朝輝》の女という意味
(メイドの中でもリーダー的存在、朝輝の子を産ませ後の領主様に仕える執事として育てるため)
以上が仮面の掟である。
実際この屋敷で働く者は男ばかり
仮面を着けたメイドは5~10人程度だ
ちょうど今旦那様のお世話をしているのが
白い仮面の綾《アヤ》と言う女だ…
他の女達は村を出て国に帰ったり、村に残り仕立て屋となって《マリア》達の洋服や装飾品などを作ってくれる。
これらは僕達の村には欠かせない存在である。