第17章 Doll House‐媚薬の罠‐3
『あっ…すみ…ません…出過ぎた真似を…わ…たしッ…』
震え泣き出した綾を優しく抱き締め
「私としたことが…つい感情的になりましたね。大丈夫です、綾は賢い子ですよね?聞き分けの良い子は好きですよ。私の言う通りにしていればよいのです。」
(あぁ…今すぐ…旦那様に触れたい………)
【隼人side】
朝輝達とわかれ寝室を目指し歩き出す
(とっさに彼女を選びあの場を去ったが、綾は大丈夫だろうか…まぁ…【cradle】へ連れて行けば後は朝輝が上手くやってくれるだろう…)
―黒薔薇の魔女が《贄》を欲している―
と【BLACK Garden】の方から使者がやって来た。
《贄》といっても殺すわけじゃない…ただ精気をもらうだけ…フェロモンとでも云うべきか…
【cradle】の中で咲き乱れる黒き薔薇の薫り
男女の交わりでさらに色めき立ち芳しく薫る
華となる…
その薔薇から作るのがあの【媚薬】であり…それを作れるのが黒薔薇の魔女なのだ。
「たまには顔を見せろと言っていたな…近いうちに訪ねるとしよう…だが、あそこに行くと何故か朝輝の機嫌が悪くなる…行くなら綾に頼むか…」
『旦那さま寝室で春輝さま《ハルキ》がお待ちです』
春輝が?ナゼ?
「わかった。すぐに向かう」
春輝とは朝輝の弟で背丈こそ違うが、声や仕草…似たところが多すぎて困る…本当に、本当に心臓に悪いのだ…あの兄弟は主人を殺す気かと思うくらい…