第1章 都会ってすごい
それからしばらく私たちはカフェで他愛のない話をした。
私が都会に出たくて必死で勉強し、都会の大学に入学したこと。
カラ松君はいつも街に出て「カラ松ガール」とやらを探していること…。
そんな事を話しているうちに、外はすっかり暗くなってしまった。
『あ、もうこんな時間。私そろそろ家に帰って荷ほどきしなきゃ。』
「暗くなってしまったな…。送っていくよ、カラ松ガァール?」
独特な上がりのイントネーションでカラ松君さんが私を「カラ松ガール」と呼ぶ。
『あの〜…その呼び方やめてもらえません?なんかそう呼ばれるとあばらのあたりがイタくなるというか…。』
カフェで話していてなんとなく気がついていたが、この人は俗に言う「イタい人」というやつなのだろう。もちろん物理的な意味ではなく。
「!?具合でも悪いのか、カラ松g…あ、えと…なんて呼べば…?」
『みれいでいいですよ。歳も近いし、呼びタメでいきましょ!」
「そうか、分かった…!じゃあみれい、そろそろ行こうか。送ってくぜ」
お会計を済まし、その後帰り道で連絡先を交換し、その日は別れた。