第2章 影分身?いいえ、6つ子です。
それから私達は私の仕事が休みの日に、東京を案内してもらうという名目で、ちょくちょく一緒に遊ぶようになった。
そして今日も、新宿で買い物をするのに付き合ってもらっていた。その帰り道のこと…
『いや〜、やっぱ新宿サイコー!ルミネも伊勢丹もあるとかマジで神!可愛い服いっぱい買えたし。ほんと東京きてよかった〜〜!!』
「よかったな、どれもお前に似合っていたぞ!」
『……』
「ん?どうした?」
『なんでもないでーす』
こういうことサラッと言えちゃうから怖いよなぁ〜…。
照れ隠しのため、カラ松から目をそらすと灰色のどんよりとした空が目に入ってきた。
『雨、降りそうだね』
「あぁ、ほんとだな。少し急ぐか」
とカラ松が言ったその時。
ゴロゴロ…ピシャーーーン!!!ザーーーーーーー……
雨が降り出してしまった。たらいをひっくり返したかのような雨量だ。
『うわぁぁまじかぁぁ!傘持ってないし、家までまだ距離あるよぉ?!』
「まだうちの方が近いし、一旦うちで雨宿りするか…!」
『うん!そうだね…って、えっ??今何て…?!』
うるさい雨音の中、全速力で走っているからか、聞き返した私の声はカラ松には聞こえなかったようだ。私は仕方なくカラ松の後を追っていく。
ーーーーーーー
10分くらい走っただろうか。私たちは赤いポストと愉快なパラソルを目の前に携える二階建ての日本家屋の前にいた。
「着いたぞ」
『ここが…カラ松の家…?』
「ああ、そうだ。さ、寒いだろう。中に入ろう。」
『お、お邪魔します…』
私は靴を脱ぎ、カラ松の後に続き、二階へと上がる。
「帰ったぞ」
そう言って引き戸を開け、私を部屋の中へ招き入れるカラ松。部屋に複数の人影があるのが分かる。
そういえば前兄弟がいるって言ってたっけ…
『すみません…少しの間だけ雨宿りさせてもらいm…』
挨拶をしていた私の口はそこで止まってしまった。目の前の光景が衝撃的すぎたのだ。
『カ…カラ松が、さ、3人…!?いや、本体も合わせて4人??!』