第13章 焦燥
ミカエルside
ハンジさんに言われた通り、女性らしい服を着て支度をした。すると、どこから聞きつけたのか、シナが押しかけるように入ってきて、
シナ「せっかく化粧道具も買ったんだから、私がやってあげます!!」
と、半ば強引だけど化粧をしてくれた。
シナ「うわぁぁぁ...綺麗...まるで貴族のお嬢様みたい...。」
シナの言葉にドキッとしたが、鏡に映る自分を見て、母さんもこんな顔をしていたのかな...と思った。
シナ「さぁ、行きましょう!この姿を誰かに見せないのはもったいないですよ!!」
シナは私の手を引いて、兵舎の食堂まで引っ張っていった。
今日は基本的には兵士達は休みの日だったが、食堂には起きて朝ごはんを食べている人が何人かいた。
モブリット「リン...なのかい..?」
ルーカス「......‼︎」
シナ「あっ、モブリットさん!ルーカスさん!へへーん、リンさんすごく綺麗でしょー!!リンさんが大切な用があるからって、私が化粧をしてあげたんですよー!!」
んん?そんなこと言ってないような気がするけど...でもハンジさんからの頼みだし、大切なことには変わりないかな...。
「変じゃないですか...?化粧をするのなんて初めてなので、なんか変な感じで...」
モブリット「そ、そんなこと...」
シナ「変なわけないですよー!!こんな可愛い人、私見たことありませんもん!!」
モブリット「また、遮られた...。でも、本当に一段と美しく見えるよ。」
ルーカス「それで、そんな格好をして、一体どこに行くんだ?」
シナとモブリットは褒めてくれたけど、ルーカスはなぜか怒っているようだった。
「ハンジさんの...」
シナ「そんなの男の人のところに決まってるじゃないですかぁ!!女性が着飾るときなんて、デート以外ありませんよ!!あっ、もう時間じゃないですか?さあさあ、行きましょう!!」
シナは私を遮ってそう言った。男の人って...確かに今日一緒に過ごすのは男の子だけど...。私は、弁解する暇もなく、シナに押されて食堂を後にした。
調査兵団の門の前では、男の子の父親らしき人が迎えに来てくれていて、私は馬車に乗って男の子の元へ向かった。