第13章 焦燥
ハンジside
ハンジ「はぁ〜。全く...。せっかくやったチャンスだっていうのに」
モブリットがリンとの買い物から戻ると、私はすぐに彼に洗いざらい話すように命じた。
モブリットのあの笑顔を見るに、作戦自体は成功したようだが...全く、せめて手くらいは繋いでこいよ..!!リンの可愛い姿を見ただけで満足しちゃってさ...!!まぁ、ルーカスやシナがいたのなら、それも難しいのだろうが...。
だが、シナがルーカスを誘っていたとは知らなかった。彼はいつも影のようにリンの側に、常に寄り添っている.. どうやら、シナはルーカスを応援したいらしいな...。それに...リンを気に入っているのは、モブリットとルーカスだけではないらしい...
夕方、リヴァイが慌ただしく私の元へ来て、リンの居場所を聞いていった。リヴァイがそんな風に誰かを探すなんて、はじめてだった。
ハンジ「......。これは、奥手すぎる男たちに少し葉っぱをかけてやるかな...。」
ハンジは新たな作戦をたてはじめた。
そして、数日後、ハンジはリンが仕事で部屋を訪れたときを使って、作戦を実行した。
ハンジ「リン、少し頼みがあるんだけどいいかな?実は...私の知り合いがね、大掛かりな荷物をウォールシーナに搬入する作業のために、どうしても息子を預かって欲しいっていうんだ。息子はまだ6歳なんだけど、早くに母親を亡くしているから一人ぼっちなんだ。私しか、頼るものがいないようだけど、ここに子どもを連れて来るわけには行かないし、私はその日、重要な会議に出席しないといけなくてね...」
「なるほど...。では、私がその子の家まで行って世話をしてくればいいですね。分かりました!こう見えても私、子どもの面倒を見るのは得意なんです!」
ハンジ「それは良かった!で、男の子の家に行くときなんだがね、できたら女らしい格好で行って欲しいんだ。人見知りな子みたいだからね!かしこまった格好じゃ、安心できないだろうし!」
「女らしい格好ですか...。それなら、最近買った服があるので、それを着て行きますね!」
ハンジ(よし、これで準備は整った。あとは、当日、シナの力を借りて...。クククッ、あいつらどんな反応をするかな〜)
ハンジのメガネが黒く輝いていた。