第13章 焦燥
返事のないリンが、どんな顔をしているのかと気になって、横を見た。すると、リンは物悲しそうに月を見ていた。
いつもとは違う女らしい服を着て、月を眺める彼女は、息を呑むほど綺麗で、今にも消えてしまいそうなほど儚い雰囲気をしていた。
リヴァイ「今日はやけに綺麗だな」
「はい。今日は月明かりが一層に強く感じます」
俺が見ていることに気づいてないのか、彼女は涙を瞳いっぱいに溜めていた。
リヴァイ「...!?何を泣いていやがる...。ったく、年頃の女が簡単に男に涙をみせるんじゃねぇ...それに、」
リヴァイ 「綺麗なのはお前だ。」
なんでリンが涙を浮かべたのかは分からなかったが、消えそうな彼女を食い止めるかのように、頬に触れ、俺はそう言った。
顔を赤くしたリンをみて、俺は空いていた心が埋められたような気がした。
リヴァイ 「ふっ、戻るぞ。...送ってやる」
月明かりに照らされながら、俺たちは宿舎へと歩いた。
ルーカス「買い物から戻るなり走っていったが、リヴァイ兵長のところだったか...」
そんな二人をルーカスは影から悲しく見つめていた。