第13章 焦燥
リヴァイside
リンを宿舎に送って、さっきの一部始終を思い出す。
俺は夕方になっても、なかなか現れないリンが不安になって、バカみてえにわざわざハンジのところまでききに行った。
どうやら、今日は休日を使って買い物に出かけているらしい。
あいつがここ1年、休日にもどこかで医療奉仕をしていることは、俺も知っていたが、そうか、あいつも年頃の女らしいこともするんだな。
だが、俺のところに来ることは欠かさなかった、...俺は心に空いた何かを埋めるかのように月を眺めに行った。
思えば、リンが俺の元へ来るようになってから、月を眺めることが減っていた。
リヴァイ 「あいつは、お前じゃ...ないのにな」
月に呟いても、返事なんかは返ってこない。それどころか、その遠い存在に余計に虚しくなることもある。
その時、誰かが近づいて来る音がした。俺がここにいると知っているやつは、あいつしかいない。
リヴァイ 「リンか...。今日は休日だったんだろう。ふっ、律儀なやつだな」
「違いますよ。わたしもたまたま月を眺めたかっただけです」
あいつはそういって静かに俺の横に座った。
リヴァイ 「なぁ、リン、俺がどうしてわざわざここで月を眺めるか分かるか?」
なんで、こんなことを話したくなったかは分からない。
「......。」
だが、俺はそのまま続けた。
リヴァイ 「ここで月を眺めていると、ある記憶をはっきりと思い出すことができる。あの時は地下街の薄暗い闇の中だったが、この木の葉や枝の間から漏れる光がどうにもあの日のものと似ていてな。」