第12章 遠い記憶
シナside
シナ「全く...リンさんったら...」
リンさんは教育係として、できる限りの技術を私に教えようとしてくれた。だけど、あの人はいつ寝ているんだろう...。朝は担当の兵士の視診、昼は報告書の整理や私への医術の講義、夜は兵士の心理カウンセリングやハンジ分隊長の手伝い、やっと帰ってきたかと思えば医学書を読んだりしている。あれでは、いつか体を壊してしまう。
そもそも、リンさんがおしゃれな服を着たり、男の人とデートに行くところを私はみたことがない。あんなに綺麗でモテるのに...まぁ本人は気づいてないけど...。
シナ「あーーもう、どうにかできないかなああああ」
ハンジ「びっくりしたあ..。君は確かリンが教育している...そうそう!シナだね!そんなに暴れて何かあったのかい?」
シナ「ハンジ分隊長...!?それが...実は...」
私はハンジ分隊長に全てを話した。
ハンジ「なるほど...たしかに、私もそのことについては気がかりだったんだ。休みの日も地下街や貧しい家をまわって無償で医療を施しているみたいだしね...」
休みの日まであの人はそんなことをしていたのか...!?全く...
シナ「何かリンさんを休ませる方法はないでしょうか?」
ハンジ「そうだね...。それなら、君が休みの日にリンを街へ出して買い物なんかに誘ってみるのはどうだい?部屋にカギをかけて休めと言っても、リンは結局、医学書を読んだりするだろうからね。」
シナ「それは、いいアイデアです!リンさんは全然女の子の楽しみ方を知らないみたいだし、私がこの際だから叩き込みます!!」
ハンジ「お、おお...そうか..!!(私も女の子の楽しみ方なんて知らないんだがな)」
ふっふっふっ、リンさん!待ってて下さいね!!!
こうして、シナとハンジによって、リンの変わった休日が密かに計画されていたのだった。