第12章 遠い記憶
ミカエルside
それから数日が経って、医療部隊にも5名が新しく仲間として加わった。教育係として、私やルーカスは駆り出され、私はシナ・キャンベルという子の担当となった。
シナ「はじめまして...!! 私..ずっと..リン副隊長に憧れていました...‼︎リン副隊長に教えていただけるなんて感激です!!」
シナは緊張しているようだけど、表情やおさげの髪から元気のいい活発な女の子という雰囲気が伝わってきた。
「はじめまして。私のことを知ってくれているみたいだけど、どうして?」
シナ「リンさんのことを知らない人なんていませんよ...‼︎戦場で輝く希望の妖精だって、有名ですよ..‼︎」
「そ、そうなんだ...。知らなかった...。」
シナ「リン副隊長って、自分のことに鈍感なんですね...。」
この1年でミカエルはまた一段と美しくなっていた。19歳になった彼女の美しさは調査兵団にとどまらず、訓練兵、そして中央の議会までにも広まっていた。それは議会のお偉方がわざわざ調査兵団に、その美貌を拝みにくるほどであった。
ミカエルとシナは年も近いこともあって、すぐに打ち解けた。いつのまにか、シナはミカエルをリンさんと呼び、女性としての楽しみや男の目線に鈍感なミカエルのいい助言役となっていた。
この1年の間に変わったことはそれだけではなかった。ミカエルは副隊長となった今も、ハンジ班とリヴァイ班を掛け持ちして職務を行なっていた。両班のメンバーは、壁外調査を乗り越えながら着実にミカエルとの絆を深め、大切な仲間となっていた。
そして、ミカエルは今でもリヴァイの元を訪れて紅茶を淹れることを日課にしていた。