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【進撃の巨人】月明かりのあなた【リヴァイ落ち】

第12章 遠い記憶


ミカエルside

あの壁外調査から1年が経った。私は今も生きて医務官として調査兵団にいる。数々の壁外調査により、人類は少しずつではあるが外の世界への自由へと進んでいた。しかし、それに伴う犠牲も決して少なくはなかった。

私とルーカスは壁外調査での医療での活躍が認められ、配属1年目であったが医療部隊の副隊長に任命された。

トントン
「イリス隊長。兵士の健康診断書をまとめてきました。」

イリス「入れ。そこにおいてくれ。」

「その格好...。出かけられるのですか?」

イリス隊長は、普段は真っ白な白衣に身を包んでいるが、今日は兵服を着て正装していた。

イリス「今日、第102期訓練兵の解散式があるんだ。お前も聞いてはいるだろうが、医療部隊は人手不足だ。それを補うために何人かを医療部隊へ勧誘することになったんだよ。お前やルーカスの活躍もあって、調査兵団の1年を通しての生存率はとても高くなった。上が正式に第2期を作ることを認めたんだ。」

隊長の言うように、この1年を通して何度も壁外調査を行なってきたが、医療部隊がいなかった頃に比べ調査兵の生存率がうんと高くなり、確かな成果として上の議会にも認め始められていた。エルヴィン団長の読みは当たっていたのだ。

「イリス隊長のおかげです...。私は、実に多くのことをあなたから学ばせて頂きました。そして、私はいつもイリス隊長の暖かさに守られてきた気がするんです。」

隊長は相変わらず死んだ目をして厳しく私たちと接したが、その厳しさが私たちの為であることも、隊長が死者への尊敬と弔いを忘れないのも知っていた。

イリス隊長「...お前は...人の本質を見る目を持っている。以前はそれが怖かった。だが、今はそれに少なからず救われているよ...。」

イリス隊長が少しだけ笑ったような気がした。彼女のそんな表情を見るのは初めてだった。隊長はそれを隠すように、部屋を後にした。
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