第11章 自由への意思
リヴァイside
壁外調査が明日に迫った。
いつもは死に行った仲間たちの表情が思い起こされて、眠れなくなることもあったが、不思議と気持ちが落ち着いているのはあいつの紅茶のせいだろうか。
リン・キールは、言った通りにあれから毎日俺の元を訪れては、紅茶を淹れた。
だが、気になるのはあいつの顔だ。会話をしていると時折ひどく悲しい表情になることがあった。そして、それを振り払うように俺から目を晒した。
あいつには何かあるのか...?あいつはなんであんな顔をする...?
気がつけば、俺はリン・キーンのことばかり考えていた。
リヴァイ「ったく...集中しろ...」
そう言って俺は目の前の書類にペンを走らせた。
日が沈み始めた頃、いつものようにドアを叩く音がした。
「リン・キールです。」
リヴァイ「入れ。」
「兵長、視診と紅茶を淹れに来ました。」
リヴァイ「今日はいい。明日から壁外調査だからな、お前もゆっくり休め」
「そうですか...」
キーンはまた寂しい目をしてそう言った。
リヴァイ「...座れ。なんだ?明日が不安か?誰だって初めての壁外なら調子がいいということはないだろうが...」
キーンを椅子に座らせ、少し励ましてやるかとそんなことを言ってみたが、彼女は俺を遮ってこう言った。
「いえ、覚悟はもう決まっていますから。」
リヴァイ「覚悟...それは死ぬ覚悟のことか?」
「違います。自分が選択したことを信じる覚悟です。私は、自分でここで人類の自由のために戦う兵士の力になることを選びました。だから、私は彼らと自由のために戦います。」
そう俺に言い放った彼女の瞳には信念の光が宿って見えた。
そして、
(私...自由に生きたいの...!!!!)
月明かりの中ミカエルが言った言葉と重なった。
リヴァイ「...悪くない。」
リン・キーンの言葉を聞いて、再び、リヴァイも明日の壁外調査への意志を強くした。