第11章 自由への意思
ルーカスside
ルーカス「仕事が多くて敵わねえ..」
壁外調査まであと1週間だと言うのに、俺は体を休める暇もなく動いていた。
それは、3日前、エルヴィン団長が壁外調査へ医療班を同行させると発表してから日を追うごとに人手が減っていったからである。
今では、以前発表された配属先も意味を持たず、一人がいくつかの班を掛け持ちで仕事をするようになっていた。
医療班は何も体のケアをするだけが仕事ではない。
担当の班の心のケアも重要な職務である。だから、普段から担当の隊員たちの動きや変化をよく観察する必要がある。
だが、こうも担当が多ければそれも疎かになってしまう。そのせいもあって、最近はめっぽうリンにも会えていない...。
あいつが参加すると決めた以上、俺も当然参加すると言ったが、リンが担当するのは右翼前方だ。
俺が担当する左翼後方とはかなり離れている。もし、巨人に襲われたときリンを助けることができない...。
ルーカス「あいつを支えると決めたのに...。」
リンが俺の知らない誰かを想っていることには気づいていた。だから、気持ちを伝えることはしなかったし、側に居られるだけで構わないと思っていた。
だが、リンに会えないこの時間が、もし、永遠に続いてしまったら...。
ルーカス「リン...俺がお前を振り向かせるまで死ぬんじゃねえぞ...。」
苦々しい想いを胸にルーカスは次の班へと向かった。