第9章 赤い再会
ミカエルside
ルーカスはいつも的確だ...。彼がそういうならもう兵団の書物庫は本当に使えないのだろう...。
でも、地下街の人々の環境は以前にも増して酷くなっていた。壁が一つ壊されたことにより、食料は底をつき、人と人との争いも多く起きていた。また、感染症の蔓延、怪我を放置したことにより仕事を失い、命を落とす人々も多くいた。
少しでも、多くの医術を学ばなければ...。
どこか...ほかに..医学書のある場所は..。
??「俺は...エルヴィンだ...」
??「俺は、父親と立てた仮説を証明したいんだ...」
ミカエルの中に暖かい記憶が流れ込んでくる...。
そうだ...!あの図書館に忍び込むことができれば...。
危険な賭けであったが、ミカエルの瞳は月の明かりに照らされて眩しいほど輝いていた。
ルーカスを巻き込むわけにはいかない。一人で実行しよう...。