第2章 運命を決めるもの
-貴族プレミンジャー邸-
「目が覚めたか」
冷たい声に家に戻ってきたことを理解した。
彼女は無言のまま声の主の方を見る。
「無駄だと言ったはずだ。お前には、一生この家のためにここで尽くしてもらうんだからな。まぁ、大方、ここ最近のお前の反抗はお前が母親について知ったせいなのだろう?」
声の主は4ヶ月前少女が、この屋敷に連れてこられた際に父親と名乗った男だった。しかし、男の冷たい態度からは全くそれを感じることは出来ず、虫けらを見る目に近かった。
「お前がここに来て、あまりに駄々をこねるから外出を許可していたが、この家について知ったからにはもう一生出られないと思っていた方がいい」
「私は、あなたなんかに屈しない。母さんが命をかけて守ってくれた人生を棒に振ったりはしないわ...!!」
「クククっ...その目、やはり、母親そっくりだな。まぁ、いい。来週お前が13歳になる日にお前をある貴族に引き渡す。お前は母親の血を色濃く引き継いでいるからな、さぞかし貴族の年寄り共もよろこぶだろう。」
ゾク...ミカエルから血の気が引いていく。
先日知ったミカエルの母親の最期から察しても、最悪の未来が近づいていることが分かった。