第5章 地下街の月明かり
随分と走っただろう。追っ手が近くにいる気配はもうなかった。
いつのまにか、地下街へと来ていて、街を流れる川の下水道の下あたりに来ていた。
鉄柵の先に流れていく水の音だけが響いて、上向きに覗けばうす暗い空が見えた。
??「ここまでくれば大丈夫か...」
「あのっ...」
??「おい、おまえ、なんで憲兵なんかに狙われてやがる?」
鋭く澄んだ声だけが聴こえて、顔は見えない。
私が押し黙っていると...
??「ちっ、さっさと答えろグズ」
「...自由に生きたい..から..」
??「あ?聞こえねえよ」
「私...自由に生きたいの...!!!!」
その瞬間だった。雲に覆われていた空から月明かりが漏れて、地下街に一筋の光が差し込んだ。