第4章 エルヴィン・スミス
エルヴィンside
幼かった頃、父と立てた仮説をいつか証明してみせる。それだけのために、全てをかけてきた。そのためなら、どんな犠牲があっても構わないと。強い思いのはずだった。
だが、なぜだ。訓練兵時代は、同期たちに仮説を話したり巨人の話をよくした。しかし、調査兵となり、団長となった今、その仮説を話すこともなくなっている。
エルヴィン「我々は巨人について知らなすぎる。もっと知ろうとしなければ...」
訓練に会議、面倒な上との食事会を済ませた後、エルヴィンは足早に図書館へと向かった。本来なら貴族専用の図書館であるが、団長という地位や、上の計らいで利用できるようになったのだ。
夕焼けがステンドグラスにあたり、一層赤く図書館を照らす。
普段は人などいない図書館の中で物音がした。
まだ足を踏み入れたことのない3階に小さな影をみつけた。
エルヴィン「女の子...?どうしてこんなところに」
女の子が大きな本を抱えて眠っていた。
エルヴィン「医学書か...?難しい本を..こんな小さな子が?」
ミカエルの金の髪が夕焼けの光に当たって、キラキラと揺れていた。
幼い寝顔だが、どこか人を惹きつけるような雰囲気があった。
エルヴィンは思わずしばらく見惚れていた。