第16章 約束
ー約束ー 番外編②
俺はそれでもなんとか、自分を見てくれないかとリンを想った。だが、ライバルたちはかなり手強かった。
リヴァイ兵長は、容姿とたまに見せる優しさからか、女性からとても人気があった。それに、人類最強の男だ。女じゃなくても、彼に憧れる兵士は多い。
ルーカスもまた、背が高く、王子のような容姿をしているため、治療を理由に近づいてくる女性が後を絶たない。
モブリット「まぁ、二人とも他の女性は全く眼中にないようだけど...。」
俺にあるものはなんだろうか...。
そんなことを考えていると、部屋をノックする音が聞こえてきた。
「モブリットさん。足の様子を見にきました。入っても大丈夫ですか?」
それは、今頭の中にあったリンだった。
モブリット「あ、あぁ。大丈夫だよ。わざわざありがとう。」
俺がぎこちなく部屋に通すと、リンは、
「何言ってるんですか。私は今でもハンジ班担当なんですよ。」
と笑って言った。
モブリット「そうだったね...。...明日からの壁外調査、行けなくてすまない。ハンジ班が一人減ってしまった。俺は、こんなときに、情けないな...。」
俺がそう言うと、リンは俺の目を見て、しばらくして言った。
「モブリットさんにはたくさん助けられてます...。ハンジ班に入ってすぐの頃は、巨人についての知識も浅くて、ハンジさんの話についていくために、モブリットさんは優しく教えて下さいました。モブリットさんには、人をよく観察して、それを支える力と優しさがあると思います。」
リンは真っ直ぐな瞳でそう言った。どうして彼女には、今かけて欲しい言葉が分かるのだろう...。
モブリット「...リン、ありがとう。やっぱり君には、敵わないな」
俺は心にあったもやもやが消えたかのように、笑うことができた。
そして、俺は一つの決断をした。