第16章 約束
ー約束ー 番外編③
俺は、その決断を胸に、ある人の部屋を訪れた。
トントン
モブリット「リヴァイ兵長。入ってもよろしいでしょうか。」
リヴァイ「モブリットか...。入れ。」
兵長は松葉杖をついている俺を一瞬見て言った。
モブリット「失礼します。兵長にお願いがあってきました。」
リヴァイ 「願いだと...?なんだ。言ってみろ。」
モブリット「俺は、この足ですから、明日からの壁外調査には出られません。...だから、リンのことを頼みます。」
リヴァイ 「.....。そうか...。だが、俺にも配置や役割がある。必ずしも、そうできるとは限らないぞ」
モブリット「それでも構いません。ただ、今の俺にできることはこれくらいしかありませんから...。」
兵長は、なぜ俺がリンだけを守ってほしいと言ったのかも、そんな頼みをした理由も聞かなかった。
ただ、俺の真剣な表情をみて、
リヴァイ 「...分かった。約束しよう。リンは必ず連れて帰る。」
と言ってくれた。
壁外調査から帰ってくる日、前日からの雨で外にはほとんど人がいなかった。
隊列を組んで道を通る調査兵団の後方に、リヴァイ兵長が見えた。
兵長は、気絶してるかのように眠るリンを抱えて馬に乗っていた。兵長は約束を守ってくれた。
モブリット「よかった...。本当によかった...。」
兵長は、俺に気づくと一瞬俺の方を見てそれからまた前を向いた。
俺は、あの日決断したんだ。
不甲斐なくて、泣き言を言った俺を見て、リンは真っ直ぐな目で希望を与えようとしてくれた。
あの時、そんなリンを見て、俺もリンのためにできることをすべきだと思った。そして、それが...約束。
リヴァイ兵長なら約束をして、それを守ってくれると思った。
俺は、雨の中、兵長に支えられて眠るリンみて、
モブリット「リン...。これからは、君の想いを応援するよ...。」
と、自分の心に約束をした。