第16章 約束
エルヴィンside
トントン
ペトラ「エルヴィン団長、失礼します。昨日の報告です。リン・キーンは無事、側近たちを怒らせることなく自ら王宮を抜け出し、迎えにきたリヴァイ兵長と帰りました。」
エルヴィン「そうか。難しい任務だったがよくやってくれた。感謝する。」
俺は、ミカエルを連れてくるように言われた会食の後、内密に給仕の女に近き、今後の会食の予定を聞き出し、予備の給仕服を借りることができた。
ミカエルが会食に行く前日、ペトラに訳を話し、給仕服を来て潜入し何かあれば助かるように頼んだ。
だが、ミカエルは自分の力で自分を守った。いつのまにか、本当に強い女性へと成長していたんだな...。
ペトラ「エルヴィン団長...。お礼...という訳ではないのですが、一つ質問よろしいですか?」
エルヴィン「なんだ。」
ペトラ「リヴァイ兵長とリンはどういう関係ですか?」
ペトラは確か...リヴァイを好きだったか...。ならば、今回は彼女に少し、酷なことをしてしまったのかもしれない。リヴァイがミカエルのことを聞けば、必ず迎えに行くと分かっていたからな...。
エルヴィン「今はまだ、上司と部下だろう。」
ペトラ「今は...ですか...。」
ペトラは悲しさと悔しさが混じった声で言った。
ペトラが部屋を出てから、すれ違いにミカエルが訪ねてきた。
「エルヴィン団長。隊長の件ですが、リン・キーン、ありがたく拝命させていただきます!全身全霊で役職を全うします!!」
ミカエルが力強く敬礼をして、私に言った。
昨日の一件で何かが変わったようだな。いや...戻ったというべきか...。
エルヴィン「あぁ、任せたぞ。大いに期待している。」
「はいっ!!!」
エルヴィン「それから昨日、お前とリヴァイに液体をかけた犯人についてだが...。」
「私の家と関係があるかもしれませんね...。」
エルヴィン「...!!やはり、そうか...。このことは、他のものには言うな。今度はリヴァイだけでなく、他のものも危ないかもしれないからな...。俺の方で、犯人は探しておく。」
ミカエルは黙って頷き、部屋を後にした。
夕焼け空が広がっていた。真っ赤な光が部屋に入ろうとしたのを止めるように、俺はカーテンを閉めた。