第16章 約束
ミカエルside
ー昨日ー
エルヴィン「...という訳なのだが...。貴族たちは、お前一人で来て欲しいと言っている。」
エルヴィン団長に呼び出され、会食の話をされた。
表情からも、そこにいけば私がどんな目にあう可能性があるのかが分かった。
団長は、断っても構わないと言っていたが、
私は、団長の怒りと悔しさが宿っているような瞳と、そのせいか震えている手を後ろに隠したのを見て、
「私、今は腕を怪我しているせいであまり兵団の役に立てません。だから、行ってきます。そして、私の力で出来ることをしてきます。心配しないで下さい!」
と言った。
団長は、頭を下げて、
エルヴィン「すまない...。」
と言った。
ー王宮にてー
王の側近「いやはや、近くで見るとこれ程までの美しさとは...。」
「お招きいただきありがとうございます。」
貴族「あれが希望の妖精と呼ばれるリン・キーンか...。確かに、この世のものとは思えん美しさだ...!!」
王の側近「さぁ、さぁ、食事を始めようではないか...!!今日は特別に葡萄酒も用意した!存分に楽しんでくれ!!」
私は早く帰る予定だったので、葡萄酒には手をつけず、ひたすらにっこりと笑っていた。
食事も終盤に差し掛かると、王の側近であるネルサン伯爵が私に部屋にくるよう言ってきた。私は、仕方なくその男に従った。
伯爵「やっと二人きりになれた...。他のものたちは、私を羨ましそうに見ていたよ...。くっくっくっ...リンよ、さぁ、こっちにおいで」
伯爵がベッドに来るように言った。
「その前に、伯爵様。伯爵様は、生活習慣病という言葉をご存知ですか?」
伯爵「...は?」
「知らないのですか...?それは、大変だ...!!このままでは、伯爵様のお命が危ないのです...!!」
伯爵「ど、どういうことなんだ? そんなことはどうでもいいから、早く私と...」
「いけません...!!私は、伯爵様のことを思ってこう言っているのです...!!そもそも、食べてすぐ横になろうとするからそんな立派な脂肪がーーーー。」
この後も私は伯爵の言葉を遮り続けながら、とにかく言葉をまくし立てた。一時間近く話したところで、伯爵が疲れてきたようだったので、別れを告げて戻ってきたというわけだった。