第16章 約束
エルヴィンside
俺とリヴァイは馬車に乗って、この壁の最高責任者である王が住む王都へとやってきた。
リヴァイ「クソ...。豚がガチャガチャと着飾りやがって、食べ物も...あるとこにはあるんじゃねえか。俺にこいつらと同じ豚の餌を食えというのか。」
リヴァイは王の側近や貴族たちの服や、目の前に並べられた、市外の惨状とは不釣り合いな豪勢な食事を目にしてそういった。
エルヴィン「そう言うな。これは、調査兵団が新たな武器や壁外調査をするための資金を集めるための会食だ。こちらは、何があってもやつらの機嫌を損ねてはならない。」
ピクシス司令「エルヴィンの言う通りじゃ、やつらは巨人とは違って扱い方が簡単じゃからな。おとなしく頷いておくのが、一番手っ取り早い。」
リヴァイ「ちっ...」
王の側近「さあさあ、会食をはじめよう。今日は存分に楽しんでくれ。あぁ、エルヴィン。次回は是非、連れてきてほしい人がいるのだが。」
エルヴィン「連れてきてほしい人...ですか?」
俺が聞き返すと、王の側近は興奮したように言った。
王の側近「あぁ、リン・キールというお前のところの医療部隊の女だ...!!あれは、実に美しい...。一度、見に行ったが、医療兵だとは思えん美しさだ...‼︎是非、ここに連れてきて、近くでその顔を拝みたい...‼︎」
彼女の名前が出てくるとは思わなかったため、俺は動揺した。そんな俺を見かねて、ピクシス司令が代わりに返事をした。
ピクシス司令「あぁ、もちろんですとも、なぁ、エルヴィン。次回は必ず彼女を連れてここに来ましょう。」
リヴァイ「まて...。あいつは先日の壁外調査で腕を損傷した。あいつには、お前らの相手は務まらない。」
リヴァイが守るように言葉を返した。
王の側近「腕くらいなら問題ないだろう!!それともなんだ、私の言うことが聞けないのか??私には、お前らの資金援助を取りやめる権利だってあるのだぞ!!」
王の側近が立ち上がって、すごい剣幕でまくしたてた。
ピクシス司令は、掴みかかる寸前のリヴァイを誤魔化しながら、なんとかその場をおさめた。