第16章 約束
エルヴィンside
先日の壁外調査で亡くなった兵士たちを弔った翌日、俺はミカエルとルーカスを団長室に呼び出した。
エルヴィン「大方、話の内容は見当がついているだろうが、イリス隊長がなくなり隊長が不在の今、新たな隊長を決める必要がある。」
ミカエルもルーカスも、未だイリス・レイが亡くなった事実を乗り越えられていないのは分かっていたが、だからこそ、決断までの時間が掛かると思い、早くにこの話題を振っておく必要があった。
エルヴィン「これまでの様々な面から見て、俺はリン・キールに隊長をやってほしいと思っている。そして、これまで通りルーカスにはリンのサポートをしてほしい。」
ミカエル「...!?」
ルーカス「分かりました。これまで以上にリンを支えられるよう尽力します。」
エルヴィン「そうか。任せる。」
ミカエル「ちょっと待ってください...!!隊長は...私には荷が思いです...!!私はイリス隊長のような力はありません...!!」
エルヴィン「そのイリスが、お前を指名したんだ。壁外調査前、イリスはもしものときは後任はリンをと、私のところに言いにきたんだ。」
ミカエルは泣きそうな顔で私を見て言った。
リン「イリス...隊長が...。でも...やはり私には...!!」
エルヴィン「お前には、イリスの想いを受け継ぐ意思がないということか?...とにかく、時間をやるから、もう一度考えて見てくれ」
ミカエルは黙ったままルーカスと部屋を後にした。
ミカエルはキーンさんの元で学び、ウォールマリアの移民たちを身体も心も治療した経験を生かして、この調査兵団で目覚ましい活躍を見せてくれた。
他の医務官は、足が食われた兵士や内臓がねじ曲げられた兵士を見て、あたふたしているにも関わらず、ミカエルは冷静に命と戦ってみせた。
それに、ミカエルの優しい性格と人を見抜く才能により、多くの兵士が心を救われている。
エルヴィン「俺はお前を信じているぞ...」
トントン
リヴァイ 「おい、エルヴィン。行く時間だ。ったく、クソでもしているのかと思えばこんなとこにいやがった。上の偉ぶってる豚どものお呼び出しだ。」
エルヴィン「あぁ、今行く。」